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Marketer’s Brain 法人化一周年に寄せて

独立する約1年前、ある神社で(数日間だけですが)冬山で滝に打たれる修行をしたことがあります。

夜が明けて早々、滝に向かう山道を黙々と神主さんと2人で1時間程度、歩く道すがら、こんな話をしました。

神主「あなたは、自分の生きる道が、もう見つかったのですか?」
私「はい。私はそう思っています」
神主「それは、いささか決断が早すぎますね」

確かこんな、やり取りだったと思います。

当時、私はマーケターとして活躍していました。

大企業で数年間連続で前年比2~3倍という成果をたたき出し、新規事業の立ち上げでは、問合せ数10倍を3ヶ月で成し遂げるという奇跡のようなミッションを軌道に乗せ、その実績をひっさげて、颯爽とBtoCからBtoBに転身。

そこでも自身のメソッドを駆使して、業績改善と基盤構築を展開していました。

「私は、マーケターとして生きるのだ」

そう思っていた時でした。

自分の中では、しっかりした戦略立案と、必要な施策の両輪を回せれば、どんな企業の業績も1年以内に別の次元に持っていける自信も、実績もありました。

実際、登壇や取材の機会を通じて、そのメソッドを世に広めることで、聴衆の皆様からは高い満足度と反響をいただいていました。

だからこそ、私は、この道を歩き続けるのだと「確信」していました。

――しかし、そうはなりませんでした。

私が、自分のマーケティングメソッドを伝えるために、講演、登壇、年間50回を数えるこれらのコミュニケ―ションを繰り返す中で、確かにファンの方は増えました。リピーターの方も増えました。ありがたいことでした。

しかし、そんな彼らの事業の業績改善に私の講演が寄与したか?というと、私にはそう思えませんでした。様々な方法で、たくさんの情報を惜しげもなく公開していっても、彼らの様子が「変わる気配」が、私には見えなかったのです。

ある日、彼らに話を聞くと、どうやら彼らには「出来ない壁」がそれぞれにありました。

それぞれが行動に落としこもうとした時に、どうしてもぬぐえない組織的、金銭的、環境…そして最も大きいのは、責任をもって推進する「自信」と「具体性」、これらの課題が彼らの道をふさぎ、立ち止まり、困り果てているのです。

これらを打ち破る方法はあります。私はそれを知っていました。仮に、自分がそこに携われば、それらを貫くことが出来る自信がありました。

「私ならできるのに」

最初は彼らの「やる気」の問題だと思っていました。
しかし、それで片づけるのは、なぜか違う気がしました。

「なぜなのだろう?」

自問自答する日々でした。

そんなある日のことです。私は、ある言葉に出会いました。

知りたい事のおおよそ半分は、ネットや本に乗っている。
残りの半分を知りたかったら、自分で考え出すか、経験するしかない。

ああ、そうか。と思いました。

私がそれを出来るのは、才能でもやる気でもなく、ただ単純に、私がその道を歩いてきたからなのだ。それによって、私は経験を再現できます。だから圧倒的に早い。それだけなのだと。

そう。本当は誰もが知っている。
「魔法の杖」なんか、本当はどこにも無いんです。

ただ、シンプルに経験だけが人を成長させる。

――それに気が付いた瞬間、私は強烈な「衝動」に駆られました。

「天啓」と言われれば、そうなのかもしれません。私は今これを「使命」と呼んでいます。

「『私なら出来ること』を、なぜもっと世のために使わないのか。自分だったら、この状況を打破出来るのではないのか――」

それが、この事業を起こしたきっかけでした。

私が行動を起こすために、私は様々なものを一回捨てる必要がありました。
収入もそうです。地位もそうです。名誉もそうです。

これまで一生懸命、積み上げて、築いてきたものたち。このまま歩けば享受するであろうそれらの未来と、私の心の「衝動」と天秤にかけて、結局、私は決断をしました。

そこから時が経ちました。

いま、私がお仕事をさせて頂いているクライアント様は、初めてお会いした時は、みな一様に困っておられます。私は、そこに「道」を示して、彼らが動き出すヒントをお伝えします。

彼らとともに考え、過去や他社の実績から経験という引き出しを使い、その不安を1つずつ消し込む。

時に自分が率先してけん引し、時に、その人の「言葉にならない何か」を言語化し、時に「形にならないアイデア」を図式にし、あるいは、施策にし、数字にし、可視化していく。

もし、うまく行かなかったら「この顧問が悪かった」と言ってもらって良い。それで、その会社の責任問題が丸く収まるなら、それでなによりだと。

私は自分の仕事に、そのくらいの覚悟と信念をもって取り組んでいます。

つまるところ「マーケティング組織構築の支援」とは、このような地道な作業です。

しかし、そんな泥臭い仕事の中に「私が大切にしている瞬間」があります。

私は、月に何度もクライアント担当者様の「そうか!」というような、パアッと、表情が明るくなる瞬間を目撃しています。

それは、

・今まで言葉にならなかった何かが形になったり、
・今まで見えていなかった自分たちの進むべき道の雲がはれたり、
・今まで知らなかった事実にお客様が自分で「気づいた」瞬間

に見られます。

その感動と喜びが混じったような表情を見たとき、私はとても幸せな気持ちになります。

そして、そういう企業のマーケティングは必ず飛躍していきます。それによりメンバーが自信をつけ、更に挑戦していく風土が出来るのです。

……私のやり方はおそらく拡散力という意味では決して効率的なものではないでしょう。どちらかと言えば、泥臭くて、地道で、職人的な、徒弟制度の様なやり方です。

容量にも限界があります。すでに私は新規のお客様にはある程度、支援をお待ちいただくような状況になっており、心苦しくも思います。

しかし、品質を落とさず、使命を果たすには、まずは今のお客様方に、継承と自立の道を示さねばなりません。

小さな成功体験を重ねて貰い、自信をつけてもらい、そして、やがてマーケティングのプロとして大きく羽ばたいて頂く。いまは、それが、私の喜びだと断言できます。

「幸せとは、あなたが、自分の人生に「納得しているかどうか」である。その時、他人との比較・優劣は関係ない」

先日、あるお坊さんの話を聞いていて心に残った言葉です。「利他」の先にある、自己の納得。

これからも、皆様との仕事を通じて、自分なりに突き詰めていきたいと思います。

 

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