先日、支援が始まって間もない某お客様(プロジェクトチームの責任者)から以下の内容のメールを頂きました。
>さて、今回の研修を通して気になった点なのですが、各チームともデ・スーザ様にターゲットや目的といった最初に設定しているはずの軸の部分を指摘されている場面が散見されました。
>具体的なメッセージや施策で修正いただいた点についても、軸を忘れて技術的なアプローチに偏ってしまった結果と思えました。
>事務局としては、今回の参加メンバーには、デジタルマーケティングの技術的なノウハウだけでなく、目的や対象をしっかり見定めて一貫した考えや施策を立案できる人材になってもらいたいと考えています。
>最初のタームですのでインプットしたものをしっかりしたアウトプットに変換できるとは思っておりませんが、これまでのデ・スーザ様の支援された企業様では、そういった部分も含めタームを重ねるごとに精度は上がっていっているのでしょうか?
正直、このメールを受け取った時「おお……、凄い。わかっていらっしゃるな」と、感心しました。
実はこの視点、持てるようでなかなか持てない人が多い、「本質」だからです。
今回は、この質問に対する返信メールを少し改変して、コラムをお届けします。
▼やることでしか見えてこない世界がある
以前、当コラムの表題では、少し触れたのですが、この状況はまさに「ホームランの打ち方を教わっただけで、ホームランバッターになれるわけがない」と言う趣旨のものです。
結局、「打ち方」を教わったら、あとはひたすら打席に立つなり、素振りをするなり…つまり、実際に自分でやってみると「なるほど。こうも上手く行かないものなのか」と感じながら経験値を積むわけです(いわゆる、見るとやるのでは大違い…と言うやつですね)。
弊社のコンサルティングでは専用のシートを活用して、案件を進めながら学ぶと言う実戦形式をとっているのですが、
「では、次回はこれを先ほど説明したシートに落とし込んでてきてくださいね」とお伝えすると、一部の方は「なんで、いまさらそんなことしないといけないんだろう。今日、もう教わったじゃないか」と言う空気を出されることも多いのです。
しかし、実際にやってみると、先のメールにあったとおり取り組んだ内容は先祖返りし、やろうと思っていたことが時には抜け落ち…というのが普通に発生します。
これは、ひとえに経験の差です。
バッティング練習でいえば、「ボールから目を離さない」「思いっきりバットを振りぬく」というのを同時にやろうとすると、どちらかをついつい忘れてしまう……と言う話と根っこは同じです。
▼「型を身に着ける」と言うのは一朝一夕に行かない
私が座学だけの研修に否定的な理由はこれで、要は「聞いたからわかる」と言う話と「実際に出来る」というのは、これほどまでに乖離があるのが「当然」です。
それを場数をこなし、何度も何度も繰り返すことで少しずつ「コツ」を掴んでくる。
個人差はありますが、半年で掴む人もいれば1年掛かる人もいます。
あちらを立てればこちらが立たない。やったと思ったら戻る。
しかし、それを反復確認ができるフォーマットがあれば、その形を見ながら何度も反復する。そして、その内容をコーチ(私)が都度修正していくからこそ、徐々に「こういうことか!」と体得するに至ります。
お客様はみな「リッキーさんに聞いた瞬間は絶対やれる気がするんですけど、いざやるとダメなんですよねえ……」と、支援当初は、仰います。しかし、そういった皆様も半年、1年…と時間が経つにつれ、実は修正の内容が減ったり、質疑応答の内容が高度になったり、確実に成長をしていきます。
また、ある程度実績が積まれたら、今度は社内で先達から後輩へ「教え、教わり…」と言う交流も生まれていきます。そうなることで、徐々にこのマーケティング展開が「文化」になっていくのです。
まさに習い事と一緒。「継続は力なり」と言うことです。
▼成長が早い人に存在する「ある」特長
さて、そんな中で成長著しい人間には、実はある特徴があります。
それが、「今回こそ!! 大丈夫だと思います!」と言ってくるタイプの人です。
こういうタイプの人は、自分なりに「流石にこれ以上はないだろう」と思うくらい、必死に何度も何度も考え抜いて、課題に取り組んで持ってくる人です。
ただ、それでも盛大に撃沈するのですが(笑)
でも、これは本当に才能だと思います。正直、尊敬します。
だって、良い年齢になってある程度の役職もある人が、まず、物事にこれ以上ないくらい取り組んで、何度も何度も考え直して、それで、公の場に「どうすかね!?」って持ち込んだのに、先生に(時には部下の前で)ボコボコに指摘される訳ですよ。
でも、これ以上ないくらいに真剣に考えたからでしょう。
学ぶこと、気づきが多いようで、吸収も、成長も早くなるんですね。
おそらく、こういうタイプの人間って「今日、恥をかくことなんかどうでも良い」って思っているんですよね。とにかく、自分が明日、今日よりも成長できるなら、今日みんなの前で「全然だめだ」と言われても、むしろ「まだ成長できる!」と喜べるタイプ。
ハッキリ言って、世の中の「いい歳した大人」の大半はこの真逆のタイプなので、自分が「知らない事」を隠したり、ごまかそうとするんですけど「長期的に見て、何が本当に重要なのか?」を、真にご理解されているのだろうなあと思います。
そして、企業の「成長・変化」をけん引していくのは、こういうタイプの人材なのだろうなと、伸びる企業を見ていて思います(実際その後、昇進していったケースも何度も見てきましたし)。
私も、常にそうありたいものです。
さて、最後に。
貴社には、挑戦する人材を歓迎する文化は御座いますか?