正しいやり方を覚えた、それを実践してやってみた。
そこまで出来てもまだ、50点。

「しくみ」は「文化」にしなければならない。
2021.12

成功を継続するための最大の秘訣「しくみと文化づくりの違い」とは?

2021.12.01

「リッキー先生、しくみと文化づくりの違いって何ですか? なんとなくは分かるのですが……なんかこう、いま一つハッキリしないといいますか……」

ある程度、コンサルティングが進捗している某社様での話です。自分たちが行っている仕事について、「経験、勘」で動かしてきたビジネスを「言語化」し、それを「しくみ」に落とし込み、数値に変えていく……ちょうど、その辺りのプロセスがひと段落した3か月目くらいに頂いた言葉でした。

「なるほど、しくみと文化の違いですか。確かにニュアンスが少しわかりにくいかもしれませんよね。簡単に一言でいうと、それは『時間』の概念ですね」

「時間……ですか?」

少し、キョトンとされていたので、この説明をさせて頂くことにいたしました。

▼しくみ・文化の違いとは?

そもそも、何か、ことに変化を起こすときに、この「しくみ」というのは一定の成果をもたらします。しくみを辞書で引くと「構造。機構」という言葉が出てきますが、弊社の事業である、「ビジネスの仕組みをデジタル化する」というのも、今まで「電話をかけて、アポを取って、商談に行っていました」というプロセスを「デジタルを活用して、引き合いを立てて、筋の良いものからアポを起こして~」と、その「構造」を変化させているところに、コンサルティングの本質があります。

じゃあ、「しくみ」さえあれば、上手く回るじゃないか。

と、思われそうですが、そうです。それで正解です。ただし、「その時点においては」……という条件が付きますが。

わかりやすい話でいうと、プリンタなどが良いかもしれません。

プリンタは様々な「構造」の上に成り立っている「しくみ」です。未来永劫、それが回っていれば我々は困ることがありません。買ってすぐに「これはいいものだ!」と、毎日使い続けていると、やがて、様々なことが少しずつ起こり始めます。

たとえば、用紙切れ。インク切れ、紙詰まり、ネットワークエラーなどなど……。

そういう「エラー」が発生したときに、我々はフォローアップをすることで「しくみを立て直す訳」のですが、つまり「しくみがもたらす正常稼働」は、時間の経過と共に、必ず何らかの「ひずみ」を生み出すということです。

そして、これは、何も機械だけの話ではありません。

たとえば、私の仕事(マーケティング組織構築におけるコンサルティング)で、もっとも発生する「あるある」は「人に依存すること」です。「しくみ」を教えている訳ですから、それを覚えた人間が、個人としては優秀に立ち回れるようになるわけですが、「その瞬間」の時点で、組織にどんなリスクが内在しているかというと、「その人に依存しないといけなくなっている」ということです。

仮にそのままの状態でも、短期的にはハッピーなのでしょうが、そのままでは、いずれ必ず発生するであろう異動(昇進)、休職、退職などと言った「不意のリスク」に堪えることができません。そして、その時限爆弾が発生した瞬間、その対策が出来ていない企業の、あれだけ頑強に見えた「しくみ」は、酷いときは半年も持たずに瓦解していくことになるのです。

じゃあ、どうすれば良いのか?というと、「しくみ」を持続させるためには、それらの「エラー」をフォロー対応できる体制(プリンタならマニュアルやサポートセンター/企業の場合は組織)を作らなければならないということです。

▼だから、しくみを文化にする

特定の条件で回っている「しくみ」を会社の「常識」に変えていく。

そのために最も効率のいい手段が「そもそも、組織体制がそう(対応できることが前提に)なっている」という状況=「文化」を作ることとなります。

「ローマは一日にして成らず」と言いますが、文化の構築には、どうしても時間が掛かります。

ただ、作ったタイミングだけは、その伝播が速くなる。なぜなら、社内にすでに第一人者という「サンプルケース」が存在し、しかも知識もまだ習いたてなので新鮮なんですね。これまでは「手探り」だったことが、そのキーパーソンがいるお陰で、社内で自走しながら共有されるようになり、教わった本人も「教える立場(あるいは私の教えをサポートする立場)」に立つことで、より深い知識を得ていって、「知識の習得」だった経験を「体得」というレベルまで昇華させることになるからです。

「鉄は熱いうちに打て」とも言いますが、これが、弊社が「しくみ」の提供するプログラムの中に「文化づくり」を組み込んでいる真の理由です。

良い仕組みを覚え、良いものだから、社内に広げていく。そしてそれが、組織・文化を形成し、企業の中に根付いていく……。

そういう大きなしくみだからこそ現場任せにせず「経営レベル」で推進していきたいものです。

貴社ではデジタル化の「しくみ」の先に「文化」を見据えて、取り組んでいますか?