明けましておめでとうございます。年の初めと言うのは「抱負」を語る最も良いタイミング。
「今年こそは……」と「目標」を定め、それに向かって邁進したい。そう、お考えの方も多いと思います。
しかし、私がこの仕事をしていて最も「ああ、勿体ない」と感じるのもこの「目標」。実は、多くの方が、目標を定めるとき、目標よりも大事な「目的」について考えていないことが多いからです。
今日は、そんな「目標を定めるための、目的について」述べてみます。
明けましておめでとうございます。年の初めと言うのは「抱負」を語る最も良いタイミング。
「今年こそは……」と「目標」を定め、それに向かって邁進したい。そう、お考えの方も多いと思います。
しかし、私がこの仕事をしていて最も「ああ、勿体ない」と感じるのもこの「目標」。実は、多くの方が、目標を定めるとき、目標よりも大事な「目的」について考えていないことが多いからです。
今日は、そんな「目標を定めるための、目的について」述べてみます。
たとえば、今年こそ「5㎏痩せたい」「利益率20%を超えたい」これらは年始などに語られる「抱負(目標)」の代表的なものです。
しかし、そのいずれも「目的」には、なっていません。
目標と言うのは英訳すると「Target」であり、定められた(そして、多くの場合「数字」で定める事のできる)対象に対して近づいていくことを目指します。
大事なことはこの「目標」には欠けているものがあり、それは「理由」です。
「5㎏痩せる」ことも、「利益率20%を超えたい」ことも、指針としては明確なのですが、他人からすると、理解するのに(ほんの刹那かもしれませんが)少しの時間を要します。
その理由は明確で、この言葉単体だと、
「What for?(何のために?)」
と言う部分への説明・観点が、完全に欠落しているからです。
「目的」と言う言葉には、この「What for?」を完全に補う力があります。
たとえば、痩せる……なら「老後に親のような病気をしたくないから」とか、「いつまで若く、健康であるために」とか、利益率20%……ならば「事業を安定して存続させたい」とか「働く関係者に将来性の点で安心してほしい」とか……です。
実は、人は目的には共感しますが、目標には共感がしにくい。
なぜかというと、聞き手において、常にこの「What for?(何のために?)」という無意識の疑問が解除されないからです。だから、年頭所感などの社長のあいさつで、いきなり「目標」を語られると、社員は結構ウンザリします(経験則 笑)
「ああ、ま~た言ってるよ。アンタがそうしたいだけだろう?」と。
これは、従業員側が悪いからとか、意識が低いから……と言うものでは決してありません。シンプルに目標を課す側に求められる「説明責任」が果たされていない状態だという事です。
次に、「私は目的も語っているから大丈夫だ」と思っている方に向けても注意点があります。
それは、
「あなたが考えていることを、周りは理解していますか?」と言う「視座の壁」の存在です。
「利益率20%という目標」例に挙げて話してみると、社員からしてみれば「働く関係者に将来性の点で安心してほしいからだ」と説明されれば、これは共感できます。
なぜなら、聞き手の彼ら自身が「自分ごと化」しやすいからです。
しかし、「世界一の会社を目指しているから」と言われると、これはまた「え、自分に関係なくない?」と、強制・やらされている……という感覚が出てきます。
社長からしてみれば「世界一の会社を目指している」はブレなくて良いのですが、これは社員からすれば、いささか「理解するには遠い」と言う事なんですね。
だから、結論から書くと社員からの「共感は得られません」。
「え、そんなことで?」と思われるかもしれません。
なぜなら、あなたの頭の中には同じベクトル上(のかなり手前)に、だから「働く関係者に将来性の点で安心していなければならない」というものが存在し、「そんなことは説明しなくても分かるだろう」とすら、思っているからです。
だから説明しない。
でも、それはあなたの「思い込み」にすぎないかもしれません。
そもそも、人間というものはシンプルに「聞いていないことは理解できない」のです。
その方に、真剣に聞く姿勢がないのなら、なおのことです。
だから、社員に響くのは社長にとっては物足りないかもしれない「社員の周りの話」だったりします。
くだらない……と思われる方もいるかもしれませんが、こういうギャップは社内の上下などのみならず、マーケティング分野における社内コミュニケーションや、顧客との関係性、もっと言えば部署を跨いだ目標設定など、枚挙にいとまがありません。
そして、「そんなくだらないこと」で、目標の達成は困難になるのです。
だからこそ、注意すべき点なのです。
それが、部署のレベルなら、
資料請求を増やしたい。問い合わせが欲しい。セミナーの参加者を爆発させたい。展示会を大成功させたい。
マーケティング担当者のレベルなら、
もっと沢山の知識が欲しい、良い役職(職務等級)に就きたい、たくさんの人に共感してほしい。仲間を増やしたい。
などでしょうか。はい。
これ全部、上記の「Target」の解説に書いた通り「数字になる」訳ですね。
だから「目標」でしかない。
ただし、「かみ砕ける最小単位」になっているから(これこそをサイロ化と言うのですが)、皆がこれを「目的」だと勘違いする。あるいは混同する。
事実、私のところに、時折やって来る依頼にもこういったケースは存在します。
「ページビュー月間100万を超えたい」とか「フォロワー数1万人欲しい」とか。
目的が明確ならば何も否定しないんです。そうすればいい。
ただし、「目的を達成するために」ならば、です。
でも、「目標を達成するために」その数値を目指しているのならば、そこには何の意味もない。その数字を向上させても「売り上げ」は向上しないかもしれない。
※ちなみに部署の目的=社長の目標「働く関係者に将来性の点で安心してほしい」につながるため、部署レベルでは数値化(目標)にされています。これが、目的と目標を混同する人が、さらに増えてしまう理由でもあります。
なお、それが個人レベルに展開すると、今度は「フォロワーが多いほうが偉い」とか、「たくさんの知識がある方が凄い」とかの方向に行きます。
あえて問いますが、「何のために」でしょうか?
最初は「会社の業績目標を達成するために」だけ、だったはずです。
この関係を正しく理解しないと、せっかく「抱負」を用意しても、人生というレベルでは徒労に終わることすらある……と言う事です。
私はコレまで数多くの企業様を支援してきましたが、伸びる企業様には必ずこの「目的」が存在します。強い熱意(熱量)を持って、担当者や責任者の方が描く「未来」。
それを目指して、だから、そのために、定められた数字(目標)を超える。
と、明確な逆引きで設計されたその目標は、必ず達成されていくのです。
それは、「逆引きで作ったから現実な数字になっている」と言う、必ずしも現実的な側面だけではなく、
「担当者自らが、何のためにそれを行い、どうなりたいのかが明確になっている」から、と言う方がはるかに大きい理由だと思っています。
あっという間に達成した企業もありましたし、そこに至るまでに1~2年という時間を費やした企業様もありました。
弊社自身で言えば、このサイトを目指してある程度の完成に持っていくのに3年をかけている訳ですが、遅かれ早かれ、それは着実に推進され、達成に向かって「まっすぐ歩いていること」に疑いの余地を感じないことは、まぎれもない事実です。
だからこそ、貴社は目標を定める前に「目的」を考えてみてください。
それは、シンプルに「What for?(何のために?)」という問いかけの答えになっているはずです。
貴社には、この問いに明確に答えられるものがありますか?
そして、それが、正しく社内に浸透していますか?