売上向上のために戦略が必要
戦略を構築するためには、企業文化の理解が必須
2023.04

経営を加速させる「マーケティングの打ち手」とは

2023.04.03

▼マーケテイングとは「経営」である

すべての企業が存続するために絶対に必要なのが「売上」。

この「売上」に関する経営課題に企業経営者が頭を抱えるとき、その課題は4つに集約されていきます。

・新規のお客さんが集まらない
・サービスが価格競争に陥り、利幅が低い
・幅のある提案をしているのに特定のサービスしか売れない
・一見さんばかりでお客様が定着しない

いわゆる「売り上げの4原則」と言われるもので、経営者のみなさまが、創業(就任)時から退任までのすべての期間でこれを「なんとしないといけない」と躍起になるポイントでもあります。とにもかくにも言える事は、この4原則はしっかり対応し、「自らのスタイル」を確立、研鑽しないと、企業の存続を揺るがす致命傷になる……と言う事です。

そして、会社の中ばかりに目を向けていると忘れがちなのですが、企業とは、すべからく「市場」に晒されており、自社が10頑張っているときに、周囲の企業が30頑張っていたら、その差は広がるばかりとなり、いずれ貴社は淘汰される運命になってしまうのです。

だからこそ、事業には「マーケティング」の存在が欠かせません。

営業と直結するマーケティング機能は、企業経営における「売上」をシッカリ確保するために、成長させ続けなければならない経営の「心臓」と言っても過言では無い。

これは、すべての経営者の方々が同意される「本質」だと思います。

▼間違いがちなマーケティング戦略の「はじめの一手」

さて、そこで、この状況をなんとか打開しようと、「マーケティング領域では素人」の多くの企業が、知識を持たないままで実行した場合、失敗しがちな「良くあるアクション」についてお伝えしましょう。その打ち手は、大筋で以下の3つです。

1:マーケティング方面の採用を強化し専門家を招聘してみる
2:社員全体のレベルの底上げのために研修を実施
3:マーケティングやインサイドセールスの連携力改善のために組織改編

これらは、実施することで「上手くいっているように見える」ため、「これをやればいい」と誤解しがちなのですが、確かにこれらは「手段としてハマることはある」ものの、実際のところ、この手段だけを「戦略無しに行った」場合、「博打」をやっているのと、大して変わらなくなります。

そもそも、これらの打ち手には、列挙された「コインの表側」と対になるように、すべてに「コインの裏側」があります。

以下に簡単に「よくある話(失敗例)」を対にして列挙してみましょう。

1:外部招聘を要職に就けたことでプロパー社員との関係性(社内の空気)が悪くなった
2:社員本人たちに危機意識がなく、研修内容が浸透しない。実践なき知識なので実利にならなかった
3:組織改編後に会議だけが異常に増えた。出来ていた事すらできなくなって元に戻した

たとえば、1なんかは特に言われる事なのですが、そもそもマーケティング人材が転職市場に流れてくる事について、

「そもそも、なぜ流れてきたのだろう」と考えたことはありませんか?

「転職理由 1位」などで調べてみればスグに出てきますが、いま流行りの「Chat GPT」に聞いてみたところ、すぐに以下の10個が出てきました。

1.キャリアアップ・スキルアップのため
2.待遇・給与面での不満
3.人間関係のトラブル
4.業界・職種の変更
5.仕事内容のマッチング不足
6.働く環境や文化の違いによる不満
7.職場の遠さ・交通の便の悪さ
8.家庭の事情・プライベートの充実
9.職場の安定性や将来性の不安
10.個人的な成長や興味のある分野で働きたいという理由

要は、一定のレベルまでは向上心に伴う「チャレンジ」がポジティブな理由になり(1位、4位)、一定のレベルを超えて自信がつくと現在所属している企業との「相性問題」(2位、3位、5位、6位など)が理由になってます。

と言う事は、経営者の皆様に対してこういう質問が成立します。

1.「チャレンジをしたい人」に経営における「心臓・命運」を預けますか?
(だって、本当に自分で全部上手くやれる人なら、独立・起業しますから)

2.「相性問題」は自社なら絶対におきないですか?

これらの問いに「もちろんだ!」と断言できるのなら、どうぞ進めてください。実際、そういう出会いもあります。素晴らしい出会いに感謝しましょう。しかし、多くの経営者様からすれば巨額の資金を投入する施策なわけですから「絶対に成功させたい」と考えるのが普通です。

であれば、社運を「会ったばかりの人」に直感的に任せることについて二の足を踏むかたも多い事でしょう。

たくさんの経験をされてきた社長様なら解るでしょうが、結局、仕事におけるその人の本質は、「実際に一緒に仕事をしてみないとわからないもの」だからです。だから、私は「戦略の無い打ち手には、博打の要素がある」と申し上げているのです。

しかも、採用という手段の場合、自社に合わなかったからと言って「じゃあ、もう結構です」と判断することすら、雇用契約の関係で非常に困難となります。

▼そもそも「選手1人」で、チームは勝てるのか

そもそも、企業とは「組織」であり、チームプレーが必須要件です。

ですから、社内外問わず、人間関係がその根底にあります。上記に述べた「転職理由」を見ても分かる通り、それらは仕事内容、企業文化などにも波及し、「個人の相性の問題」だけで成立しているものですらないのです。

チームスポーツが好きな方は、思い当たる節があるかもしれませんが、ある特定のスタープレーヤーをオーナーが肩入れしてチームに入れたところ、もともと持っていた「チームの持ち味」が壊れてしまい、試合に勝てなくなった(チームが弱くなってしまった)とか、

最初は、経験不足の集まりのチームだったが戦術が浸透して意識が変わることにより、全員が活躍できるバランスの取れた強いチームになった……みたいな話は珍しい話ではありません。

また、仮に「特定のスタープレーヤー」を中心にチームが上手くまとまっていたとして、その「特定のスタープレーヤー」が、怪我・引退した瞬間に世代交代が上手くいかず、やっぱりチームが瓦解した……などという話もあります。

これは組織が大きくなればなる(個人への依存比率が下がる)ほど顕著に表れる傾向です。

だからこそ、たとえば、サッカーであれば、昔のイタリアが「カテナチオ」と呼ばれる堅牢な守備を起点としたサッカーをしていた一方、隣のフランスは、と言うと華麗なパスワークを得意とした「シャンパンサッカー」と呼ばれる「ベースとなるスタイル」が存在した……と言ったような、

1)「その企業文化に併せた戦略」が、まず存在し、
2) それを実現できるプレーヤーが育成(時に外部から招聘される)

ことこそが、マーケティング組織改善に伴う「正しい順番」と、なるはずです。

▼成果を出せるマーケティング組織になるために

では、それを実現するためには、どういう風に打ち手を展開すれば良いのでしょうか。私はその選択肢は、大きくわけて「2つしか存在しない」と思っています。

それが以下の2つです。

1.外部の事業者ににやってもらう
2.自らが出来るようになる

世の中は便利なもので「面倒な事」を全部「おまかせ」できる会社がたくさんあるそうです。ですから、任せてみるのもいいでしょう。ただし、それは先に言うところの「経営における心臓・命運を他人に預け続ける」ことになります。ですので十分見極めてください。

そして、もう1つの手段。

こちらは「自らが出来るようになる」という方法です。
読んで字のごとく。シンプルで、要は「体得」という事ですね。

「わかる」ではなく「できる」という状態を作る。

なにも、全部を自分でやる必要はないんです。外部の事業者を使うにあたっても、彼らに「飲まれない」よう、一定のスキルを身に着けて、指示できるようになるだけで良い。そういった基本の作法を身に着けて、そのオペレーションを体系化する。そして、それに即したマニュアルも用意し継承していく。

(私が好きな)弊社の本業はコチラ側なのですが、「あるべき論」を考えると、たとえば、こちらの方が本質に近いのではないか……と思ってこの事業をやっています。

また、それは、支援する企業の在り様にも表れます。企業のWebサイト等で、彼ら「支援事業者」が掲出している事例などの文体を見れば、それは明らかです。

自社がプロジェクトを他社に紹介するときに、多くの企業は「弊社(私)が、やってあげたから、この組織は上手くいきました」という言い方をするんですよね。話の中心が「弊社・私が」の方にあるように見える書き方になる。心臓を握られる……というのはそういう事だと思います。

ちなみに、こういう人間が事業者側に招聘され「マーケター」みたいな形で会社の顔になってインタビューなどをされている場合、大筋営業からは嫌われています。

そりゃあそうでしょう。営業現場にしてみれば、売上向上(シュートを決める)行為をしているのは自分なのに、パスを出したMFや監督が「ああ、あれね。俺のおかげ」と世間に豪語し、(業界内などでは)「流石ですね!」などと称賛・注目されている訳ですから。

言われてみた側からすれば「はあ?」です。でも本人はまるで気が付いていない。
だから揉める。人間関係が悪くなる。それで転職する(繰り返す)。解り易い構図です。

そういう事もあって、弊社では実例をどういう風に紹介させて頂いているかと言うと、
「(弊社が、関わることで)、彼らが(みずから)出来るようになりました」という言い方をするように心がけています。話の中心は、あくまでもお客様だという事です。

これが、「体得」の本質です。

体得は「文化」に直結し、社内で勝手に波及してくれます。人様の言葉を借りれば「アメーバ経営」のようなもので、「良いものだから広がる」というコミュニティが形成されるんですね。そうすると、その企業に併せた「カテナチオ」や「シャンパンサッカー」「トータルフットボール」と言ったようなスタイルが、自然に形成される。

だから、次こそは人材の採用をする。なぜなら、「正しい目的」を理解したうえで確信をもって行動できるから……と、フェーズが進める訳です。

▼「出来るようになる」の弱点とは?

さて、良い事ばかりを書いたので「出来るようになる」ための「コインの裏側」について書いてみましょう。

これはもう簡単です。「自分でやらないといけない」という事です。

成功も、失敗も、すべて自分でやって、責任を取らないといけない。
だから、「覚悟」が必要で、地道にコツコツ努力をしないといけません。

個人的には「案ずるより産むがやすし」という奴だと思っており、実際、弊社には手厚い実績が存在するわけですが……(そもそも、成功して頂くための支援をするわけですし)。

という事で「面倒くさそうだから、そういうのはやりたくない。誰かに任せたい」と思われる方は外部に任せることを全力でおススメします。ベストではないかもしれませんが、それなりにはこなしてくれる「かも」しれません(それで上手くいっていない企業は山ほど知っていますが、まずは体験してみると良いと思います。「あんな男とは別れたほうが良いよ」といくら言っても、体験するまで分からないのと一緒なので)。

まあ、「体得」すれば、それこそ「自身のキャリア」の展望も見えてくるはずなので「アリとキリギリス」的に、(それこそ、個人のスキルアップの意味でも)やっておいたほうが良い気はしますが、それは、あくまでも私の個人的な感想なので、みなさま自身で判断されると良いでしょう。

さて、最後はいつものようにお伺いしましょう。

貴社には「言葉だけに終わらない、本当の改革への意思」が御座いますか?