明けましておめでとうございます。新年と言う事で「抱負」や「目標」が語られる時期ですから、今回は、私が昨年末に学んだ、私なりの考え方について共有したいと思います。
昨年後半、私が長いこと構想していた「マーケティングにおける基礎を出力できるAIシステム」であるMarketer’s Brain®を自社開発し公開しました。このシステムは、お客様のマーケティング戦略に一定の水準で貢献するものです。
このシステムを開発した際、私は当時の自身が想像もしていなかったような「学び」を得ることが出来ました。今日はその話をしたいと思います。
▼私のリスクテイクと、その先に見えたもの
実はこの開発は、プログラミング知識をほとんど持たない私が、AIとの対話と指導を受けながら黙々と組み上げたものです。
たとえば、プログラミングに適した環境、顧客への開示の仕方、セキュリティの保持の方法、AIを導入する手順、そして、プログラミングコードそのもの。
そういった、ほとんどの情報を模倣し、壁打ちを行い、私はこのシステムを組み上げました。
開発にあたり、素地となるメソッドは存在していたわけですが「マーケティングを補助するシステム」にするためには、私の知りうる(自社の)コンサルティングメソッドをこのシステムに再現させる必要がありました。
ですから、私は、自らの考え方が再現できるためのコードを必死で書き続けていました。
しかし、その行動の裏で、実は私の心の中には様々な葛藤がありました。
それは主に「もしも、AIに私のコンサルティングメソッドを完全にコピーされるような事があったら、私の人生は本当に大丈夫なのか」のようなのものです。
しかし、システムが組みあがり、お客様に見て頂いた頃には、それらは「完全に杞憂だ」と断言できるようになっていました。
なぜなら、システムは確かに「便利さ」を与え、お客様は満足されている一方、自分は、この身をもって「AIが得意な事と苦手な事、AIに代替させるべきことと、人間が考えるべきこと」の差を身に染みて理解することが出来たからです。
▼鏡のように理解出来た「お客様の葛藤」
実は、この体験を通じて(お恥ずかしながら)私は「私のお客様に起こりえる葛藤」について、その身をもって理解することが出来るようになりました。
たとえば、弊社のコンサルティング指導を受けるお客様は、私と「壁打ち」を行い、自社ならではのマーケティングの勝ち筋(受注プロセス)を構築していきます。
お客様は、自社で持たれている考えを、マーケティングに落とし込むための作業を行う一方、社内には葛藤の声もよくあるそうです。
それはたとえば「もし、マーケティングが完全に機能したら、営業はもう不要になるのではないか」と言ったようなものです。
しかし、数々の施策を通じてマーケティングを体得した(できるようになった)お客様はそれらが「完全に杞憂だった」と思い、次への意欲を手にされます。
そして、その結果、その組織は「マーケティングが出来る状態」になっていくのです。
▼真の学びは「その身をもって取り組んだ先」にしか存在しない
今回の経験から、私が改めて理解したことは、真に価値あるリスキリングとは「単なるスキルの習得以上のもの」になる……と言う事です。
真に価値あるリスキリングは、その人間に進化を促します。
それは、リスクへの懸念と言う恐怖を乗り越えた先に育まれるものです。
それは、私であれば「マーケティングを補助するAIシステムを作りたい」という意志の上に成立したものであり、お客様であれば「マーケティングが自分でできるようになりたい」という強い意志のうえに成立させたものです。
だからこそ、リスキリングとは「どこかにある新しい何か」を学ぶべきではなく、「今の自分の延長にある、リスクを懸念するようなもの」であればこそ、その相乗効果を生み出すことでしょう。
だからこそ、そこには「取るべきリスク(変化へのアプローチ)」が存在するはずなのです。
最後は、少しでもマーケティングに興味を持った企業にお伺いいたしましょう。
貴社には「成功のためにリスクを取る覚悟」が御座いますか?