正義なき力は、破滅を導く
しかし、力なき正義は無力である
2025.03

本当に揺るぎないブランド構築とは

2025.03.05

ありがたいことに、本日より、NewsPicksにおける「認定エキスパート(第一弾)」に就任し、同プラットフォーム上でコメントを発信する役割を拝命いたしました。

これは、おそらく中々に珍しい抜擢だろうと思います。

というのも、私は自著にも書いていますが、「SNSすらマトモにやっていない」人間です。実際、FacebookとLinkedInしかやっておらず、リアルな付き合いを中心に数百人規模。世間一般で言う「影響力を作る」行動とは程遠い存在です。

にもかかわらず、公的に認証された立場で、メディアの最前線に立つこととなりました。

この選定プロセスでは、どうやら過去5年にわたる同社のエキスパートサービスでの活動が評価された模様です。匿名で訪れる瞬間的な企業の依頼に、短文でプロフェッショナルとしての回答を返す。なんとなく、誰にいう事も無く続けていた活動でしたが、数もそうでしょうが、質も求められる「コメント」を続けた結果、就任オファーを頂く流れとなったようでした。

少々驚いたものの、知名度はさておき、「選定に見合う成果を出しているか?」と問われれば、自信を持って「Yes」と言えます。

理由はシンプル。企業の後ろ盾もなく、縁故もなしに、単一のマーケティング領域でここまでの実績を積み上げ、しかも、公的に列挙できている人間は、国内でも数えるほどしかいないからです。

そして、実はこの「ありよう」こそが、私の考える「ブランド論」です。

▼良いブランドは「不可逆のストーリー」を持っている

あらゆる成功事例は「~に学ぶ」のような言葉とともに語られますが、いざ「実践」となると、それを成し得ない方が多いことは、皆様も経験上ご存じの通りでしょう。

だからこそ、多くの方は成功するために「まず、影響力を持つこと」にフォーカスを置こうとします。発信力さえあれば、評価が得られ、影響力が生まれ、より大きな舞台へと進める。個人でも発信力を持てる時代になった今、この思考は一層加速しています。

一方、私はそこに対して真逆のアプローチをとっています。その基本思想は「ビジネスの根底にあるのは信頼関係であり、信頼なくして良い仕事は生まれない」というものです。

つまり、最も確実なブランド形成とは「信頼を積み重ね、それを可視化すること」であり、
「当たり前のことを、当たり前に、当たり前のレベルで続ける」ことに尽きます。

この言葉が響かない方もいるかもしれません。なぜなら、この方法は地道であり、地味だからです。異論はありません。

しかし、だからこそ「誤魔化し」や「虚飾」が入り込む余地がなく、純度の高いブランドが形成されていくのです。そして、そうして積み上げられたブランドは、一度確立されると、もはや「ブランドを維持するための特別な活動」が不要になります。

影響力を先に構築したブランドが露出と活動を継続することを暗黙に強制する一方、純度の高い実績や実例からのブランドは、その証明≒資産・資本そのものが、「価値の証明」となり、継続的に機能し続けるからです。

▼影響力が先か、実力が先か

「影響力を持てば、多くの人が集まり、その期待に応えることで、さらに影響力が大きくなる。」

平成以降、個人の発信力が飛躍的に高まる中で、こうした流れが主流になりました。その結果、多くの人間が「テクニック論」に走ることになりました。しかし、その結果、少なからずの一定の数の人間が、本来の自分と、オンライン上の「虚構の自分」との不整合を生じさせ、そのギャップに苦しむことになりました。

私自身、特殊な名前を持って生まれたがゆえに、10代の頃からこの「影響力と実像の乖離」の問題を体験しています。

「喋れない英語を勝手に期待され」「色のついていない髪を勝手に金髪だと想像され」「勝手にイケメンだと思われる」……物心がついた頃から、そんなことを強制的に何度も経験して育ってきた私は、「行き過ぎた期待が生み出す、リアルな本人とのギャップとジレンマ」が、いかに空虚で、負担になるかを良く知っています。

40歳を超えて英語を学び、それを実力として証明し、上流社交クラブである「東京アメリカンクラブ」に加入したのも、そうした「本来の自分と、世間の期待とのギャップ」を乗り越え、自分を取り戻すためです。

こうした原体験を持つ私は、「影響力を先に持つのではなく、ブランドを構築する手段として実力を積み上げる」ことこそが、「無理のないブランド」を構築する最良の解決策である という結論に至りました。

▼「実力が先にある」からこそ、ブランドは揺るがない

企業経営においても同じことが言えます。

「正しい在り様で、間違いのない利益構造を持ち、無理のない経営をしていれば、言行不一致が生じることはない。」
「行動は言葉よりも雄弁であり、行動が伴えば、言葉は勝手に力を持つ。」

その時、はじめて「ブランド」は「不可逆のもの」として確立されるのです。

そして、ここまで来て初めて、あなたの主張する「正義」が力を持ち、世の中に届くのです。

▼本当に揺るぎないブランドを持つ企業とは

デジタルタトゥーによって過去のすべてが可視化される時代。いったんついたイメージは、簡単に「上書き」することすら困難です。

だからこそ、「一貫した普遍の価値を形成し、それを着実に積み上げる。」

それが、本来あるべき経営の姿であり、ブランドの本質ではないでしょうか。

そして、その創り方と、体現の在り方を、己の身をもって示しているのが、私のキャリア形成であり、Marketer’s Brainという企業なのです。

最後に、ひとつ問います。
貴社には、揺るぎないブランドを支える基盤が、ありますか。