ビジネスをしていて非常に「もったいない」と思う事は、案外多くの経営者・経営層が「やる覚悟」はあったのに、そこで止まってしまうケースです。実は、本当に必要なのは「やりきる覚悟」です。
私自身、今年に入ってから、「大学講師」「NewsPicksのコメンテーター」、そして未開の業種への挑戦など、いくつもの新しい経験を続けています。また、これまで関わりのなかったコミュニティや人材との出会いもあり、これらの経験を通じて、自分の視野が大きく広がっているのを実感することとなりました。
今回は、「解像度」が上がったこの話に触れてみようと思います。
▼コンサルタントだからこそ、分かること
長年クライアント企業様に「変化」をお勧めしてきた立場として、今回、自分自身が挑戦して改めて気づいたことがあります。
それは「変化のストレス」を、身をもって理解できたことです。
実際、この1カ月の生活をスマートウォッチで計測してみると、驚くほど高ストレスに晒されていました。
たしかに、出張先でも欠かさず毎朝5時半に起きてニュースをチェックしコメントを書く行為や、大学での講義は「これまでやったことのない経験」です。冷静に考えれば、それは当然のストレスでしょう。
しかし同時に、このストレスこそが「本質的な価値」を促進していることも実感しています。
たとえば、コンサルティング精度の向上、伝わりやすい言葉の選択、純粋な知識の精錬など、地味なスキルの積み重ねが相互作用して成果につながっていく。46歳となった今でも、確実に「成長」を感じられるのは、このストレスがあるからです。
成長とは、変化の先にのみ起こることを、いまの私は「身をもって」知っています。
そして、この体験を通じて、クライアント企業様が新しい施策に挑む時の「あの感覚」が、より鮮明に理解し、言語化できるようになりました。
▼変化に対する二種類の「覚悟」
弊社の「受注プロセス戦略」は、導入すれば自動的に成果が出る仕組みではありません。当事者の努力が不可欠であり、PDCAを回し続ける「痛みを伴う改善」が求められます。
ここで重要なのが、二種類の「覚悟」の違いです。
ひとつは「やる覚悟」。試しに取り組んでみるが、結果が出なければ撤回してしまう。
もうひとつは「やりきる覚悟」。一時的な数字の低下に惑わされず、本質を掴むまで継続する。
実際、撤退寸前の商材が最後のチャンスで逆転し、社長賞を受賞した事例がありました。その事例をはじめ、数々の「大きく成功した企業様」の背景にあったのは「正しい道を進んでいる確信」と、「それでもやり続ける覚悟」でした。
▼「成功する覚悟」の正体とは
これまで数多くの企業と並走してきて、確信していることがあります。
それは、「本当の覚悟がある人は、一時的な劣勢(に見える)変化を許容できる」ということです。
展示会の名刺獲得数が前年比を割り込んだ。メールからの資料請求が減った。このような状況を「悪」と断じるのは簡単です。
しかし本質的な違いは、問いの立て方にあります。
「このやり方は間違っているのではないか?」――これは他責の問い。施策を否定する方向に進みます。
一方で「どうすれば成果につながるのか?」――これは自責の問い。施策を自分たちのものにしていく姿勢です。
事実、これらの数字を数カ月後に「受注ベース」で並べて見ると、驚くほど伸びていたりする。しかも、スキームそのものも大幅にスムーズになっている。こんな例は枚挙に暇がないのです。※ただし、「ちゃんと、正しいやり方で、やり切れれば」という大前提がありますが。
実際に逆転した事例では、担当者が数字が伸びない時期にも「自分たちの伝え方が悪いのではないか」「もう一度、顧客の声を聞いてみよう」と考え続けていました。結果として「本質」を掴み、最後の最後で大逆転に繋がったのです。
もし彼らが「やっぱり無理だ」と施策を元に戻していたら、その成果は永遠に生まれなかったでしょう。
▼「やる覚悟」と「やりきる覚悟」の違い
状況は常に目の前に存在しますが、それをどう受け止めるかは自分次第です。
「必要な受注を最大化するプロセス」と捉えるのか。「過去との比較による一時的な躓き」と捉えるのか。
その差は「覚悟の総量」と「解像度」によって決まります。
むろん、負け続けることは悪です。しかし「まだ、すべての結果が出ていない段階」で方針を投げ出し、従前のものに戻すことは、取り組んだ事実そのものを否定し、振り出しに戻る行為でもあります。
真の成果は、「やる覚悟」ではなく「やりきる覚悟」からしか生まれません。
私自身も、自戒を込めて、自分の判断に責任を持ち、「やり切る覚悟」を持って万事に取り組めればと思う次第です。