「お墨付き」とは、
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2026.05

第一四半期で受付を完了できるマーケティングの「構造」とは

2026.05.01

先月の中旬に「2026年度の新規受付終了」のご案内をさせていただきました。

内容としては読んだ字の通りなのですが、社内的な意味合いとしては「第一四半期にして通期の売上見込みが立った」という状態を指します。

まずは、この場を借りて御礼申し上げます。

さて、ここで多くの方が抱かれる違和感は、恐らく一つでしょう。

「なぜ、営業や露出すらロクにしていない会社が、そのような状態になるのか?」

本日は、この構造をブランド論の文脈で整理してみたいと思います。

▼成長がレールの上にない企業経営

帝国データバンクなどをご覧いただければいつでも分かりますので開示いたしますと、弊社は創業から7年の間、年商は4,000万円弱〜7,000万円ほど(親子会社合算・親子間取引を除外)で推移しており、これを「ずっと、同じようなペースで続けている企業」です。通算の売上は、3.5億円ほどになります。

そして、その間の「売り物」は「受注プロセス戦略」1つだけでした。また、「オフィスの拡充、人員の増強」などは皆無であり、「メディア露出の強化(ペイパブ)」のようなことも、ほぼしてきませんでした。

売上指標的な意味で言えば、「何も成長していない企業」ということになります。

では、経営の「健全性」はどうでしょうか。

弊社の内部留保は、5,000万円近い水準で積み上がっており、いわゆる「明示的な企業としての成長」とは別軸で、財務的な厚みはむしろ増しています。

そして、今期はすでに受付を締めている。着地見込みは例年と大きな差はないと考えています。

さて、ここで考えたいのは、「成長とは、何を指すのか?」という、ベースの問いです。

▼「引き算」の考え方

正直に申し上げますと、創業から3年目くらいまでは、案件が勢いよく埋まっていく……という構造ではありませんでした。おそらく3年目くらいに一度「今年の受付は終わりました」と出していますが、それは現在と違い「キャパの問題」も内包していました。営業こそしていませんでしたが、対応に時間が掛かっていたのです。

対して、現在は「どう」なのかと言えば、本業(コンサル)以外のことに工数を割けないほど忙しい、という意味では同じです。ただ、これは「ビジネスに割いている時間」が分母ですから、物理的な時間が絶対的にないわけではありません。弊社は営業をそもそもしていませんから、ご依頼いただいたものを判断する、それだけで経営が回っている状態です。

つまり「特別なことは何もしていません」。それで埋まるようになった。5年目くらいから兆候は見えていましたが、こういったブランドは構築するのに時間がかかります。あとは多少の調整で、適宜「やるべきこと」を踏んでいけばいい、という所に到達したのだと思います。

▼「足し算」のマーケティングの矛盾

さて、ここで、世の中の「王道」を考えてみましょう。

これは、ある種の「パラドックス」に近いのですが、特にマーケティング界隈のコンサルティングを標榜する企業経営者の多くは、「露出を増やし、縁故を確立し、権威を担保させ、その引力でリードを引っ張っている」ように思います。

それでも足りないと、今度はセミナーを開催し、アウトバウンドコールをかけ、共催セミナーでリードを共有し、「少しでも広く」訴求をかけにいく。

しかし、冷静に考えるとこれらは、マーケティング…というよりも「セールスプロモーション」の側面が大きい。マーケティングは確かにセールスと密接に連携しますが、「セールスそのもの」ではありません。

加えて、このタイプの施策の「怖い側面」は、「それを止めると、すべてのプロセスが沈む」構造にあります。

これは言い換えると、「売り続けなければ成立しない構造」です。

「露出が減る⇨付き合いが減る⇨訴求効果が落ちる⇨露出が減る…」という負のスパイラルは、「それを増やしてきた時と同様に」終わりがありません。

考えてみると、おかしな話です。

「お金を多くかけなくても売り上げが上がること」を目的に標榜したはずなのに、手段が目的化している。だから経費は嵩み、工数が増え、その割に売り上げの寄与は薄くなる。

そこに耐えられなくなった支援事業者は「どうするのか」というと、今度は「売り物を増やし」はじめます。あれもやろう、これもサポートしよう、と。そして、その行為がまた「工数」を増やしていく。多くの場合、それは「事業拡大」という言葉で覆い隠されます。

この「マーケティング活動あるある」は、多くの企業が陥っている「ジレンマ」そのもののように思います。

リードを拡充する。受注は思ったほど増えない。だから、またリード施策を拡充する。しかし、反比例して受注効率は下がっていく。

だからこそ多くの企業は「マーケティングに注力すればするほど、受注から遠くなる」感覚を抱いてしまうのではないでしょうか。

そして、「思い切ってやめてみる」という選択肢すら取れなくなる訳です。

「失うと、全てが一気に失われる気がして仕方ないから」です。

▼戦略だけで成立するの真髄とは

これまでの話を総括すると、結論「必要なことだけやりましょう」という所に収束する方が、私は健全だと思います。

弊社はこれまで5,000万円近い内部留保も貯めてきましたが、「本気で再投資する先もない」ということで、経営で調整するようになりました。

普通、こういうポイントは「広告宣伝費」などに入れて露出を増やしーー、と向くのでしょうが、それは先に申し上げたとおりの「おかしなスパイラル」が生じます。無駄な認知の拡充は「満足感」や「やった感」は得られても利益は生みません。

そもそも、それは「お客様の候補になる人だけが見ればいい」という「本質の基本概念」から逸脱します。

こうした構造は、コストが積み上がるほど脆くなります。

さらに言うならば、AI時代においては特に、ホワイトカラーにおける「人あまり」が生じることも間違いないと感じます。身軽な経営はそのリスクに耐えうる構造を持っており、嵩むコストを吸収するためのあらゆる労力を排除できます。

「自分ができていないことは、人には教えられない」

は、世の常だと思いますが、セールスプロモーションに興じ、大量のコストを投下する「マーケティング」と、ブランディングで経営を成立させ、極めて高い投資対効果を出す「マーケティング」のどちらが多くの企業にとっての、そして何よりも「自社にとっての最適解」なのか。

今、弊社に集ってくださっているクライアント様は、その「違い」を非常に理解されているように思います。

多数派であることが正しいのではありません。最適解を選べる企業だけが、結果を出すーーと思うのですが、さて、いかがでしょうか。