では、弊社が、こういう企業に存在する課題を、どう解決していくのか?と言うと、それが「企業側が、自分たちの価値基準を使って、自分で判断ができるようにする」と言うシンプルな方法です。
弊社は「マーケティング組織構築」という事業をさせて頂いておりますが、なぜ「組織化」という「内政(しかも原点)」の話ばかりをするのかと言うと、こういう「外からの話」が来た時に「自分たちのモノサシ」を持っていない企業は、(それが善意であれ、悪意であれ)結局、最後は食い物にされてしまう(あるいは「自社にとって正しい」と言う確信が持てないまま、目隠しをしたまま走り続ける)からです。
そこから脱するには自分自身が、一定のリテラシーを持つ必要がある。
とは言え、それは「手段(知識)」の話にフォーカスするものではありません。
先の例を元に考えると分かりやすいのですが、
「私は、キミの幸せを思ってアドバイスをしている」と、いう話に対して、
(例:新婚の君は、養育費のタイミングに備えて今から3LDKの物件を買うべきという助言)
「でも、私の価値観では、それはやらないよ」と、返せるようになることです。
(例:確かにそれは計画的だけど、今は子供を産む予定がそもそもないから不要と言う判断)
つまり、それは、
1)アドバイスの中身が本質的に正しいか、正しくないか
(例:実際の投資対効果や、家族が増えた時の生活環境や経済合理性)
と言う「専門性における判断基準」だけを持つことではなく、
2)自分の価値観や状況に照らし合わせて、どうすべきか
(例:正しいかもしれないけど、そもそも子供を作る予定がないから今は検討しない)。
と言う「価値の判断基準」も持てているのか?……と言うことに尽きるのです。
これは、かぎ括弧の例にあるように「(現状の)自己の価値観の認識」の問題であって、断じて「知識と専門性」だけの話ではありません(だからこそ、知識を養うカリキュラム型の研修やセミナー程度では、受講者本人の満足感は満たせても、業績は何も改善しないと、私は何度も言っているのです)。
企業には、「経営理念がこう、業種がこう、社風がこう、社員数がこう、予算がこう、タイミングがこう……」など、その事業体、組織のみならず、その状況に併せた「最適解」が存在するはずです。
違う例を出してみましょう。
端的に言えばそれは「この服、あの人が着ているとめっちゃ格好良いんだけど、自分には、なんだか似合わない」と言う感覚と一緒です。
英語には「Suit You」(君に似合う)と言う表現があるのですが、この表現は、英語圏では別に存在する「Beautiful」(美しい)や「Smart」(身なりが良い)とは明確に区別して使われます。
それが生じる理由は、あなたの顔立ち、骨格(体系)、身長、肌の色などによります。
たとえば「肌の色」ひとつを取っても、ファッション業界では「ブルべ」「イエベ」などの言葉あるのですが、要は例えば同じ日本人でも「肌が透き通った感じに白い人」には黒い服が似合うが、黄色を帯びている肌色の人には、実は黒い服はさほど似合わない……と言うようなことが(実は当たり前に)存在しているという事です。
そう。実は「黒は万人に似合う。困ったら黒い服を選ぶと良い」……と言う「常識」は「ある一定の人間」にとっては「根本的に間違っている」可能性すらあるんですね(だって、肌の色や骨格、身長って基本的には変えられないでしょう?)。
企業文化も、当然それと同様に(あるいはそれ以上に)考えることができます。
つまり、「世の中的な正解」は、確かに一定は必要な情報だけれども、「それが貴社にとって最適であるか?」は明確に別の話として考えて活用しなければならない……という事です。
これは、最初の話に戻れば、いかに流行していたとしても、いかにそれが世間的に成功例だったとしても「そもそも、(現在の)自社にはコンテンツマーケティングは必要なかった」と言う結論になる可能性すらあり得る……と言う話です。
だからこそ、断じて「万人に適用できる、唯一無二の勝利の方程式(だれもの夢がかなう魔法の杖≒これさえやれば、大丈夫)など存在しない」という事です。それは、そもそも、あなたの雰囲気に「絶対に似合わない服」を「どうにか似合うように…」と、無理を重ねることと、ほぼ一緒の話です。
本来なら「自分に似合う服」を正しく理解し、それを着ればいいだけの話のはずなのです。