そんな形で、パッと見「何でも屋さん」に捉えられがちなマーケティング部ですが、他の部署と比べて明確に違う「立ち位置」はキチンと持っています。
それが、企業には数少ない「お金を使う部署」だと言う事です。
「お金を使う部署」がなぜ特殊なのでしょうか?
正しくは「お金を使うことがミッション(目的)」だと言う事です。特に営業サイドから見たときはこれが物凄く異質に見えるらしく同じ「獲得を担う」目的を持っているのに、かたや経費の削減が叫ばれ、かたや(見方によっては)湯水のようにお金を使いながら獲得を取りに行くと……別の動きをしている訳ですね。
そういう関係値なのでよく「営業とマーケティング部は仲が悪い」と言われる事もありますが、概ねそれはマーケティング側が「説明責任を果たしていない」とか「情報開示ができない」事が理由です(実際は、この課題は、全社組織にすることで簡単に解消できますし、それが弊社のミッションでもあるのですが……閑話休題)
さて、話を戻して「お金を使うことがミッション」というのはどういう事かというと、マーケティング部は基本的に2種類の「予算」を持ちます。
それが
1)「お金を使う予算」
2)「獲得予算」
と呼ばれるものです。
たとえば年間で1,200万円を使う(お金)代わりに、引き合いを1,000件取って(獲得)ください。みたいなミッションですね。
このコストを会社の許す範囲で「どう使っても良い」ので、たとえば、Webサイトのデザイン変更や改修に使う事もあれば、Web広告に「出稿」(広告を出す事)に使うケースもあり、その作戦の立案と遂行、そして予測通りに数字が動いているかの確認と必要に応じた改善、その改善案の立案など、マーケ部を動かすということは、かなり大規模な範囲をカバーすることが業務の前提となります。
むろん、その結果、獲得が全然伸びなければマーケティング部失格です。
しかし、面白いのは「お金を使いきれなくても」マーケティング部失格なんです。
なぜって、それは本来使うべきものを使えていない。つまり「獲得の機会損失」をしているからと考えられるからです。
また、面白いのは「お金を使う部署」なので、結果が良くても、必ず「説明責任」が付きまとう事も特徴です。
たとえば、営業だと「もの凄い獲得出来ているけど理由はよく分からない」でも、あまり文句は言われない人が多いでしょう。
ところが、ことお金を使うマーケティング部だと、こうはいきません。
たとえ、それが仮説であっても「この施策がこうだったから、今は獲得がこう上手くいっていると思います。そして、数ヶ月後にはこうなりそうです」まで、説明しないといけません。
ですので、すべての施策を「やりっぱなし」にされたり、「効果が見えない」というのがマーケティング部にとっての1番の「ダメ認定」です。
そこを埋めていかない限り予算は増えず、他部署からは認められません。そして、それこそが、マーケティング部が独立の組織として成立していない企業の特徴です。
逆説的に考えれば、話は簡単です。マーケティング部が売り上げに寄与しているのが事実であれば「部署化しないわけがない」からです。
つまり「我々の施策が会社に理解してもらえない」のではなく、「その説明責任を(理解いただくという意味で)果たしていないから、そもそも部署化しない」が正解なのです。
そして、それを行うのは「一人の天才(カリスマ)」ではなく、「組織全体での協調」だったり「しくみ」でしかあり得ないんですね。
さらに言えば、皆様が思う通り、
「そうは言ってもうちの会社は特殊だから、書籍のようにはいかないんだよ」
というのは大正解です。
私のクライアント企業様でも「書籍に載っているやり方をやったら、そのまま成功しました」なんて企業は見たことがありません。
自社に最適な「マーケティング組織」の在り方を形成し、それを「しくみ」にする。
そして、冒頭にあった通り、売上寄与と信頼の形成を行う。
(弊社ではこの一連の流れを「受注プロセス戦略」と呼んでいます)
まさに、それこそが、マーケティング組織の果たすべき役割なのです。
あなたの会社には、「マーケティングの道筋」がありますか?