成り立ちは様々だが、求められる成果はひとつ
売り上げ寄与に、どのようにアプローチをするべきなのか

マーケティング部が他と違う部分は「たった1つ」である。
2022.10

成果を出し、社内外の信頼の手厚い「マーケティング部」とは

2022.10.01

当サイトが副業時代のマーケティングブログだった際から、現在に至るまで、よく読まれていた記事のひとつに「マーケティング部とは何をする部署なのか?」という記事がありました。

「いまさら……?」と思われるかもしれませんが、それが現状だという事でしょう。

そもそもの検索を少し調べただけでも「マーケティング部 役割」とか「マーケティング部門」、「マーケティング部 仕事内容」など、言葉が独り歩きし、中の役割について正しく理解出来ていない方も多いのかなと。

そこで、今回は「いまさら聞けないそもそもの話」として、日本企業における「あるべき」マーケティング部の目的と役割について、弊社のコンサルティング経験なども加味しながらお伝えできればと思います。

▼そもそも定義から曖昧な「マーケティング部」

お話をする前に、そもそもなぜこれだけ「マーケティング部」という言葉そのものに対するニーズがあるのかを考えてみると、思い当たるのは、やはり「置くべきところから定まっていないから」だと思います。

実際、弊社のクライアント企業様を見渡してみても、単独として存在、営業組織付け(あるいは兼務などの担当だけ任命)、インサイドセールス部という名称、情報システム系関連の部署、もの凄いところでは、渉外部の中にマーケティング組織があったこともありました。

そもそも、ひとえに「マーケティング部」と言っても実は、その保有する機能は企業によって少しずつ違います。

一般的にはセールスプロモーションやブランディングを担う印象があるかと思いますが、企業の体裁によっては広報機能を担っていたり、リサーチ機能を担っていたり、とマーケティング部の持つ機能はその会社によって少しずつ異なる……と言うことです。

ちなみに、私自身は某社のマーケティング部主任だった際に、自社ロゴを開発して法務部と商標登録の手続きからデザインのディレクションまで全てを担当した事もありますし、どの部署にも所属し得ない新規ビジネスの旗振りをやった事もあります。

まあ、流石にここまで「何でも屋」になるのは珍しいのですが(笑)兎にも角にも企業によってはいろいろなことを行う可能性がある部署なのは間違いありません。

その中でも特に大きな機能として「プロモーション機能」を持つことが多いのは確かです。が、これも細かく分けてサイトの運営機能を保有していたり、はたまた保有していなかったりと企業の「たてつけ」によって少しずつ役割が変わると言うのがマーケテイング部の面白いところです。

▼マーケティング部「だけ」が持つ「特徴」とは

そんな形で、パッと見「何でも屋さん」に捉えられがちなマーケティング部ですが、他の部署と比べて明確に違う「立ち位置」はキチンと持っています。

それが、企業には数少ない「お金を使う部署」だと言う事です。

「お金を使う部署」がなぜ特殊なのでしょうか?

正しくは「お金を使うことがミッション(目的)」だと言う事です。特に営業サイドから見たときはこれが物凄く異質に見えるらしく同じ「獲得を担う」目的を持っているのに、かたや経費の削減が叫ばれ、かたや(見方によっては)湯水のようにお金を使いながら獲得を取りに行くと……別の動きをしている訳ですね。

そういう関係値なのでよく「営業とマーケティング部は仲が悪い」と言われる事もありますが、概ねそれはマーケティング側が「説明責任を果たしていない」とか「情報開示ができない」事が理由です(実際は、この課題は、全社組織にすることで簡単に解消できますし、それが弊社のミッションでもあるのですが……閑話休題)

さて、話を戻して「お金を使うことがミッション」というのはどういう事かというと、マーケティング部は基本的に2種類の「予算」を持ちます。

それが

1)「お金を使う予算」
2)「獲得予算」

と呼ばれるものです。

たとえば年間で1,200万円を使う(お金)代わりに、引き合いを1,000件取って(獲得)ください。みたいなミッションですね。

このコストを会社の許す範囲で「どう使っても良い」ので、たとえば、Webサイトのデザイン変更や改修に使う事もあれば、Web広告に「出稿」(広告を出す事)に使うケースもあり、その作戦の立案と遂行、そして予測通りに数字が動いているかの確認と必要に応じた改善、その改善案の立案など、マーケ部を動かすということは、かなり大規模な範囲をカバーすることが業務の前提となります。

むろん、その結果、獲得が全然伸びなければマーケティング部失格です。
しかし、面白いのは「お金を使いきれなくても」マーケティング部失格なんです。

なぜって、それは本来使うべきものを使えていない。つまり「獲得の機会損失」をしているからと考えられるからです。

また、面白いのは「お金を使う部署」なので、結果が良くても、必ず「説明責任」が付きまとう事も特徴です。

たとえば、営業だと「もの凄い獲得出来ているけど理由はよく分からない」でも、あまり文句は言われない人が多いでしょう。

ところが、ことお金を使うマーケティング部だと、こうはいきません。

たとえ、それが仮説であっても「この施策がこうだったから、今は獲得がこう上手くいっていると思います。そして、数ヶ月後にはこうなりそうです」まで、説明しないといけません。

ですので、すべての施策を「やりっぱなし」にされたり、「効果が見えない」というのがマーケティング部にとっての1番の「ダメ認定」です。

そこを埋めていかない限り予算は増えず、他部署からは認められません。そして、それこそが、マーケティング部が独立の組織として成立していない企業の特徴です。

逆説的に考えれば、話は簡単です。マーケティング部が売り上げに寄与しているのが事実であれば「部署化しないわけがない」からです。

つまり「我々の施策が会社に理解してもらえない」のではなく、「その説明責任を(理解いただくという意味で)果たしていないから、そもそも部署化しない」が正解なのです。

そして、それを行うのは「一人の天才(カリスマ)」ではなく、「組織全体での協調」だったり「しくみ」でしかあり得ないんですね。

さらに言えば、皆様が思う通り、
「そうは言ってもうちの会社は特殊だから、書籍のようにはいかないんだよ」

というのは大正解です。

私のクライアント企業様でも「書籍に載っているやり方をやったら、そのまま成功しました」なんて企業は見たことがありません。

自社に最適な「マーケティング組織」の在り方を形成し、それを「しくみ」にする。
そして、冒頭にあった通り、売上寄与と信頼の形成を行う。
(弊社ではこの一連の流れを「受注プロセス戦略」と呼んでいます)

まさに、それこそが、マーケティング組織の果たすべき役割なのです。

あなたの会社には、「マーケティングの道筋」がありますか?