2018年3月。株式会社Marketer’s Brainは小さな副業から、
その事業をスタートさせました。
きっかけは、私がマーケティング系システムの上場企業で、マーケティング部長を務めていたときのことです。ある著名な業界カンファレンスにて、実践していたメソッドについて講演させて頂いた際、お客様から以下の感想を頂きました。
「私は、あなたのメソッドに共感するし、そうありたいと思う。でも、そうはなれない」
当時の私は、この感想を非常にショッキングなものとして受け止めながらも、お恥ずかしながらその理由を本当の意味で理解することができていませんでした。頭のどこかで「それはおかしい。やりさえすれば出来るのに」と考えていたのです。そして、そのモヤモヤを頭の片隅に抱えながらも、「自分なら、きっと解決できるはずだ」と、その課題を解決するための副業をスタートさせました。
今年、副業から数えて、事業は5年を迎えました。
いまなら、あの時に言われた言葉の本当の意味も、その解決策も、明確に分かります。
組織は、正論だけでは動かない。
実は、私は、従業員が5人の会社に勤めたこともあれば、25人の会社にも、100人の会社にも、15,000人の大企業にも勤めたことがあります。幸いなことに、それらすべての組織で私が行ってきた仕事は「マーケティングに関連すること」と言う部分で一貫していました。
また、その守備範囲も幅広く、新規事業の創出をやったこともありますし、不採算事業の立て直し・黒字化を目指したこともありました。時には、撤退が決定している赤字事業の残務処理を担当したこともありました(もちろん、すべて違う商材です)。
私の経験則上、すべての規模の組織に言えたことは「仕事とはつまり、人間の信頼関係であり、この信頼関係のないところに、成果は生まれなかった」という事実です。
どんなに正論を振りかざしても、それだけでは組織は動かない。
企業には、ときに政治があり、物事を動かすには、ときに順序があります。
私はそういう境遇の中で、常に「マーケティングを推進する立場」にありました。この職責を果たすために、いかに利害関係者との信頼関係を構築し、成果を生み出し、その企業に根付かせるのか? 純粋なマーケティングの「知識でも、ノウハウでもない」そういった企業を動かす「言語化しにくい力学」は、私のすべての成功体験の陰に、確かに存在していたのです。
「同じ目的を目指しているはずの企業・組織全体が、いがみあうことなく目線をそろえ、正しい成果に向かって進めるようになる」
そんなマーケティングの未来を、特定の個人に依存させず、企業全体として推進するために必要なことは、シンプルに「しくみ化」でした。コンサルタントとして支援事業の創業から2年かけ、3年かけ、さまざまな実務を通じて、その先に生み出された「受注プロセス戦略®」は、その完成形のひとつと言えます。
受注プロセス戦略®は、なぜ、成果が出せるのか。
拙著のタイトルにも記載したのですが、弊社の「受注プロセス戦略®」は「営業」を起点に戦略構築を始めます。
シンプルな道理ですが、マーケティングの所轄部署が、どんなに素晴らしいクオリティの引き合いを作っても最終活動をする営業人材が「売れるわけがない」と思っているものは、絶対に売れません。
そして、日本に存在するほとんどの企業で、マーケティングに従事する人材「1名」に対して、「10名」ときには「100名、1,000名」と言う比率で存在するのが、「営業」や「販売」と言う人材(部隊)です。
つまり、日本の企業・組織文化においては、神がかり的なカリスマでもなければ、「彼らの理解と合意形成無しに、組織が動くわけがない」。これが、日本企業の「リアル」です。
一方で、元来、人間の群れ(組織)と言うものは、ダンバー数に代表されるように、その規模が大きくなればなるほど、意思疎通が困難になります。マーケティングを組織全体に波及させる……そのミッションをスピード感を持って実現させるための絶対条件とは、つまり「組織全体が納得していること」です。
だからこそ、私は自らのコンサルティングの中で皆様に「新しい知識を詰め込みで覚えて頂く」……ということを実施していません。それは多くの人にとって(そして事業規模が大きくなればなるほど)、「意図の見えない負荷(義務)にしかならない」のが関の山だからです。マーケティングとは、突き詰めれば「視点を顧客目線に変えること」に尽きます。つまり、いまの仕事の「見方」を少し変えるだけで良い。
実は、多くの場合、企業のマーケティング推進に真に必要なのは「知識」ではなく、「気づき」です。
なぜ、弊社が、法人化からわずか4年の個人事業なのにも関わらず、16ものマーケティングの成功事例を公開できたのか(普通なら、1年以内に1社を成功させることすら大変でしょう)。なぜ、大企業と呼ばれるような大きな組織、有名企業(上場企業)の公認された成功事例が、そのうち6社もあるのか。
その偉業とも言える圧倒的な実績とスピード感の正体は、「マーケティングとは特定の人材だけにもたらされる高度な知識・才能などではなく、万人が正しく理解・体得していく事が出来る、考え方の作法でしかない」と言う本質を突き詰め、それを事業の中で「まず、自らやって見せ、次にさせてみせ……」と徹底的に「しくみ」として体現しているからに他なりません。
「受注プロセス戦略®」の本質は、まさに、そこにあります。
学問としてのマーケティングではなく、事業としてのマーケティングを
マーケティングとは高度な学問で、学ぶことで世界が変わる。……と言うのは学者としては正解かもしれませんが、私は、事業としては間違っていると思っています。たとえば、優秀な経済学者=優秀な投資家ではありませんし、優秀な経営学者=有名企業の社長でもありません。そして、優秀な評論家=優秀な実業家ではありません。
「学問」としてではなく「実務」としてマーケティングをとらえれば、シンプルに「組織として成果の出せることだけを行う」=「誰にでも、今日からできる、貴社にピッタリな、しくみを構築する」ことこそが、成功への最短ルートとなるはずです。
知識ではなく、行動を。
活動ではなく、実績を。
成績ではなく、成功を。
そして、「やりました」ではなく、「誰でもかんたんに、出来るようになりました」と言う未来を。
「受注プロセス戦略®」を活用したビジネスやマーケティングの「しくみ化」を通じ、それを心から望むすべての個人・組織の皆様に波及させることこそが、弊社の使命だと確信しております。
2023年3月 デ・スーザ リッキー