現在の会社に入社するときに、最終面接で聞かれた質問をよく覚えています。その質問は「あなたにとって、マーケティングを一言で言うと何ですか?」というものでした。
私は、少し考えた後で「その人にとっての価値の提供、、ですかね」と答えました。
マーケティングという言葉を捉えようとした時に、捉え方は色々あります。ただ、私が常々意識しているのは「その人にとっての」という部分でして「価値」という言葉ほど定義が曖昧なものはないと思っています。
ちょっと、たとえ話をしてみましょう。
「リンゴ」のはなし
私が思うマーケティングとは
ある朝のことです。
あなたは、とてもお腹がすいていて、大好物の「リンゴ」を買いにスーパーに行きました。
あなたは「適正な値段かつ、おいしいリンゴが食べたい」と思っていました。
スーパーには、今日ディスプレイされたばかりの「リンゴ」の山が2つ用意されていました。
見た目的には何の違いもないこの2つの「リンゴ」の山。
どちらの山にも「 1個 200円 」 と札が付いています。
あなたは「どちらのリンゴでも同じようなものだ」と思いました。
その時です。
左の山の「リンゴ」にタイムセール!の札が付き、安くなりました。
あなたは、
「同じリンゴなら安い方が良いに決まっている!」
と左のリンゴを手に取ろうとしました。その時……
店員が真新しい新しいポップをもってきて、リンゴの山に張り出されました。
100円のリンゴの方には「ノーブランド」と張られ、
200円のリンゴの方には「特産 青森りんご コンクール金賞受賞の一品です!」
と張り出されました。「おいしいリンゴ」を食べたいあなたは少し迷いました。
「見た目は同じだが青森りんごのほうが美味しいのではないか? だって青森で金賞だし」
あなたが迷っていると、特産リンゴの方にさらにポップが張り出されました。
「本日の特売品! 数量限定100個! 定価400円のところが200円!」
あなたは「通常400円のリンゴが200円でしかも本日(数量)限定ならば!」と、右のリンゴを手に取り、ワクワクしながらレジに向かいました。
しかし、実はこの2つのリンゴは青森と岩手の県境で道路をまたいで作られているもので、水や空気、育成環境、そして「味も」同じだったのです。
しかし、実際問題、2山の「リンゴ」の味や見た目は「なにも変化していないのに」
あなたは、リンゴに対する評価を何度か変えました。
そして、先の事実を知らないあなたはきっと「満足してリンゴを食べる」事でしょう
※もっと言うと、もしかしたら2山のリンゴを食べ比べても「やっぱり青森のほうがおいしい」と言うかもしません。
それは何故でしょうか。なにが、あなたの判断を変えたのでしょうか?
あなたの判断を変えた理由。
それは「あなたに与えられた情報」によるものです。
変化したものは、あなたにとっての「リンゴの価値」です。
今回、リンゴ農家のAさんは様々なマーケティング活動を仕掛けました。たとえば、以下のような「価値」を提供していると想像できます。
▼青森のリンゴ業者が、競合の岩手リンゴ(Bさん)に勝つためにやったこと
①「リンゴ」に名産地である「青森産」を強調した
②コンクールで金賞を受賞し「ブランド力」をつけた
③定価を高めに設定し「差別化・高級感」を演出した
スーパーに直接取引をし、売価を下げる努力をした。具体的には
④本日限定や数量限定など「特別感」を持たせるキャンペーンを展開した
⑤割引セールを行うことで「割安感」を訴求した
これは、どんなビジネスにも当てはまることです。
「良い商品だから売れる」ではなく、
大事なのは「お客様にとっての商品の価値」が「お客様にとって「これは私のためのサービスだ!」となることが重要です。
お客様にとっての…… ←ここ超大事
①商品のブランド力を訴求する
②商品の競合優位性を教えてあげる
③利用に伴う価値をイメージしてもらう
この付加価値を「その情報が必要なターゲットに十分に提供する」こと(たとえば、私の今の仕事であれば、それをWeb上で表現すること)。
それによって、ターゲットが「これが欲しかったんだ! ありがとう!」となる事が、マーケテイング活動の本質といえるでしょう。
