信頼されるマーケティングと『期待値コントロール』の作法とは
先月から今月にかけて、マーケティング業界が揺れました。きっかけは、ある著名企業にまつわる一連の報道──。その是非を論じることが本稿の目的ではありませんが、私はこの件を通じて、「期待値コントロールの失敗」がいかに業界全体の信頼を損なうかを、改めて痛感しました。そもそも、マーケティングやコンサルティングという仕事は、「成果を約束できない」性質を持ちます。これは法律上も「準委任契約」とされ、納品物や成果への義務を負わないのが通例です。発注者にとってはリスクがあり、だからこそ、支援する側には高い倫理観と誠実性が求められます。それが出来ないとき、「評価」のバランスは瓦解します。たとえば、あるレストランに入ったとしましょう。クチコミも3だったので「さほど期待していなかった人」は、料理の味に「感動する」ことはあり得ても、大きな「失望」はしないことでしょう。なぜなら、失望とは常に「高い期待値」と「貧相な実態」の「ギャップ」によってもたらされるからです。料理のような「味」と言う評価軸のあるものなら、この見分け方は合意が簡単ですが、しかし、コンサルティングとなると、そう簡単には行きません。我々は「成果は約束できない」中で、どのように「信頼」を提供すれば良いのでしょうか。私の結論は、こうです。「信頼とは、”期待値の根拠”を明示することである。」今日はその内容に踏み込んでみましょう――。